今日は朝から雨が降っていた

だから窓の鍵は、閉めたままにしていた










さようなら














文献を読み終わって伸びをしようとしたとき

窓をこつこつとたたく音がした


「まさか・・・・」


今日は雨が降っているし来るわけ無いよな・・・

ゆっくりと窓に振替えり唖然とした


窓の外でびしょ濡れになったエンヴィーが笑って手をヒラヒラと振っている


「おまえっ」


急いで鍵を開けると

エンヴィーは倒れかかるように抱き付いてきた

ぎゅっと抱きしめられて触れ合った部分から雨水が服に

ジワジワと染み込んでいくのがわかった


「お前びしょ濡れの体でくっつくなよ!!」


慌ててひきはがそうとして肩に手を置いた瞬間

視界に入ったものに言葉を失った





背中にぱっくりと口をあけた大きな切傷

傷口からの出血は止まっていて雨に洗われた体は

まるで人形のように真っ白だった





もう 何をしても手遅れなんだという事を語っていた





「エンヴィー」





いつかそう遠くないうちにこんな日が来るだろうと思っていた

敵である以上エンヴィーか俺のどちらかは・・・

前々から分かっていたはずなのに

いざその日がきてみると俺はなんの覚悟もできていなかった

ただただ蒼白で冷たい身体を支える事しかできない

思考回路はとっくの昔にショートしているし

唇は震えるばかりでなんの言葉を発することもない

頭の中には エンヴィーが死ぬ・・・いなくなる・・・消えてしまう・・・


それだけがぐるぐるとまわっていた




「おチビさんはやっぱりあったかいね〜」


かすれた声は放たれた瞬間空気に溶けてきえてしまいそうだった

エンヴィーの命もこの声と同じようにもうすぐ消えてしまう

ここに繋ぎとめていたくて抱きしめようとして

一瞬躊躇した


「大丈夫だよ もう痛みは感じないから」



いつのまにか頬をつたう涙を止めようとは思わなかった



今更ながらに自分の中のコイツへの想いのでかさを知った



「おチビさんもしかして泣いちゃってる?」


おどけた口調でも声は相変わらず弱々しくて余計に涙が溢れる


「ゴメンね おチビさん」


俺の肩にぐったりと預けられた頭から

もうほとんど音のない空気だけの悲しそうな声がする


「本当は最後におチビさんのところにくるのはやめようと思ってたんだ

 優しいおチビさんはきっと泣いてくれるってわかってたから

 それにこんな格好悪い最後見られたくなかったし?」


いつものようにふざけた調子で話していてもいつもとは違うエンヴィーの声

さっきまで俺を抱き締めていた腕は

力なく地面に垂れていた





今は俺がコイツを抱き締めている





「本当に来るつもりはなかったんだよ?」


もうしゃべるのも辛いって事が痛いほど伝わってくるのに

それでも話を続けるエンヴィーは

すごく痛々しくて切なくて愛おしかった


「でも気がついたらその窓の外にしゃがんでて

 中にいるおチビさんの事を見ていたんだ

 おチビさんが本を読み終わったらいつもの癖で窓をたたいてた」




エンヴィーの話を聞きながら


ああ・・・こいつは独りで逝くのが寂しかったのかもしれないと思った

そして最後に一緒にいる人として自分を選んでくれたんだと



俺はエンヴィーの肩に顔をうずめて涙をふいた





「本当にごめんね」


「あやまるなよ」


「おチビさん?」


「もしお前が今日俺の所にこないで勝手にどっかいってたら

 俺はお前の事この先ずっと恨んでた 絶対」



「・・・うん・・・わかった」


エンヴィーは首元で笑った


「なんだよ」


むっとして尋ねると尚もくすくすと笑いながらエンヴィーは答える


「僕って幸せものだなぁってさ」



「いってろ」



うん そう小さく頷いた後エンヴィーは大きく息を吐いた



「ばいばいおチビさん」















「愛してくれて有り難う」

















ぎゅっと強く抱きしめられたと思ったら

腕の中のエンヴィーは一瞬にして空気へと溶けていった















最後を泣かずにおくれてよかった



最後をいつもどおりに過ごせてよかった





だってきっとそれが俺達だと思うから









ばいばいエンヴィー





愛してくれて有難う











*後書き*

初エンエド小説・・・
微妙・・・
なんかエドエンっぽい・・・!?
文章に思ったようにあらわせませんでした・・・