いつのまにか こんなにも






こんな所に来るんじゃなかった...

は大きくため息をついた

初めから場違いな事はわかっていたはずなのに・・・

父親はどこにでもいるサラリーマン

母親はパート勤め

自分は有名私立の生徒とはいえ

周りのお金持ちとは違って特待生で入り込んだのだ

入学してから2年経った今まで

授業料なんて一度も払った事はない

制服やその他の指定用品まで全て学校に用意してもらったし

普段は駅前の本屋でバイトだってしている

そんな自分にこんな高級ホテルが似合うはずが無いのだ


「はぁ〜」


大きなため息が口からこぼれる

本当だったら今頃楽しく食事しているはずだった

今日は入学時から仲良くしていた友達のお姉さんの結婚式で


「同じ年頃の子がいなくて寂しいし

 は姉さんと仲がいいから一緒に来て お願い!」


と顔の前で両手をあわし、目をぎゅっと瞑った友達に頼まれたのだ

1番の親友の頼みを断るわけにもいかず

この日の為にテーブルマナーを勉強して

綺麗なパーティドレスをかりて

今朝なんかわざわざ美容室にまでいったのに・・・


何故か自分は沢山の人が行き来する

広いロビーの椅子に座っている

別に誰を待っているわけでもなく

好きでここにいるわけでもない

そう つまり

迷子なのだ

たいした理由も無い

式が始まる前に化粧室に行こうとしたら

ちょっと知っている人に似ている人を見かけて思わず追いかけてしまった

たった それだけ

結局その人は途中で見失うし

広いホテルの中で迷子になるし...

最悪な事にPETは受付のときにバッグと一緒に預けさせられてしまったし

さっきから回りを通る人といえば

慌しく電話をかけながら早足で過ぎ去るスーツの人

何だかもう立ち居振る舞いが

一般市民な私を寄せ付けない感じのいかにもなセレブさん

飛び交う外国語

煌びやかな衣装

笑顔 笑顔 笑顔


「はぁ〜」


もう何度目ともわからないため息をつきながら

微かにクラシックが流れていたりするロビーの天井で

キラキラ光るシャンデリアをぼんやりと眺める

眩しいほどの光の中にふと思い出す

さっき自分が思わず追いかけた人


「アイツはきっとこんな場所よく来るんだろうな・・・」


スーツ姿を思い浮かべる


・・・悔しいけど良く似合う


なんだか泣きたくなってくる

だいたいあそこであんな奴(見間違いかもしれないが)追いかけなければ

今頃豪華でめちゃくちゃ美味しい料理に

綺麗なウェディングドレス姿の友達のお姉さん

その姿を見ながらいつかは私達も なんて

友達と話してるはずだったのに

幸せそうなあったかい空気の中にいるはずだったのに

ここは寒すぎる

露出の多いドレスに空調の整ったホテルとはいえ

肌の表面が冷たくなってくる


「声なんかかけられるわけないよぉ〜」


呟いたときに肩をたたかれた


「Excuse me.」


振り返ると金髪碧眼の初老の男が立っていた

突然の事に頭が真っ白になる


・・・誰?


戸惑う私をよそにスーツ姿の紳士は私の手を両手で握って

笑顔のまま何か話している

えっと・・・・ 英語・・・

英語しゃべってる・・・


ぼんやりととんちんかんなことを考える私をよそに

謎の紳士は関西人のマシンガントークよろしく

しゃべり続けている


訳さなきゃ・・・ 大丈夫 

私ヒアリングのテスト結構得意じゃない

えっと・・・ 駅・・・?

ブック・・・本・・・?

え?


もう 何がなんだかわからない

どうしよう 

本当に涙が出そうになったときだった



「Excuse me.」



一瞬時が止まったんだと思った

にこやかに私の顔を見つめていた紳士の視線が

私の後ろに向けられる

紳士は大きな声でその人の名前を呼んでにこにこしていた顔を

更に綻ばせて私の後ろに向かって手を伸ばす

ゆっくりと振り返ると

スーツ姿の 伊集院炎山が・・・


あぁ コレは夢なんだ

だから2人の口は動いているのに声も聞こえないし

私の身体はピクリとも動かないんだ

こんな心臓に悪い夢 早く覚めれば良いのに

まわらない思考回路に

瞳だけが自分の思いに素直に行動する

私の視線に気づいたのかクリアブルーの瞳がこちらを向いた


「お前の事を駅前の本屋でみかけたそうだ」


「は?」


思わず間抜けな声がでる

言っている事が理解できない


「お前の笑顔が気に入ったから顔を覚えていたらしい」


ちょっとまって

私 え?

こんなお金持ちそうな外国人なんて知らないわよ

っていうかこういう人たちって本屋とかくるわけ?

ちょっと待って

え? え?


混乱する私をよそに外国人紳士は話し続ける

縋るように炎山を見るとすぐに日本語に訳してくれる


「駅前のホテルにしばらく仕事で泊まっていたときに

 通いつめていたそうだ 何度か話しかけたらしいが覚えていないのか?」


バイト先の本屋は駅前という事もあって

鬼のように忙しい

そんなお客さん一人ひとりの顔なんてはっきり言ってみている暇がない

曖昧に笑った私に伊集院炎山は小さくため息をつくと

英語で紳士に話しを伝える

紳士は一瞬残念そうな顔をしたがたちまち笑顔になった

だんだんと落ち着いてきた私もようやく話している内容を

理解できるようになってくる


「そうか それは残念だ でもコレで覚えてもらえたかな?」


炎山が訳すより先に私は答えた


「ええ もちろんです」


少し驚いた顔をした炎山に何故だか私は嬉しくなる


「では今度行ったときに声をかけても? さん」


「え・・・? 名前 どうして?」


驚いた顔で尋ねた私の頬に紳士は軽くキスをした


「そのドレス 君に良く似合っているよ 素敵だ」


そういうと満面の笑みで紳士は去っていった


軽い放心状態で突っ立っていたら

後ろから声がかかる


「名札 付けてるんだろう? 仕事の時は」


ああ それでか

納得して振り向くと何故だか少し不機嫌そうな炎山の顔が目に入る


「有難う 伊集院君」


お礼を言った私の頬を軽くつねると

炎山はスタスタと歩き出してしまった


「え ちょっ」


待って 私迷子なんだけど

受付のところまでつれてって欲しいんだけど!!

呼び止めようとして躊躇する

今助けてもらったばっかりじゃないか

何度も頼るのは悪いように思う

それに何よりこの年で迷子って・・・


かっこ悪い・・・


見栄を張るわけじゃないけどなんか格の違い丸出しって言うか

あぁ もう見栄張ってるじゃん私


「おい」


突っ立って無駄な考えにグルグル頭を使っていた私に

少し離れたところから声がかかる


「付いてこないのか?」


5mくらい先で伊集院炎山が立ち止まって振り返っていた


「迷子なんだろう?」


にやりと笑ったその顔に

顔が瞬時に赤くなっていくのがわかる


「なっ!?」


大体 誰のせいで迷子になったと思ってるのよ!?

アンタを追っかけたからだっての!

おもわず責任転嫁しそうになって思いとどまる


はぁ 違う違う 悪いのは私よね・・・


ため息をついて落ち着かせると小走りで炎山の元へいく


「・・・・お願い・・・します」


不服そうな声にきっと不機嫌そうな顔

かわいくない 私 と自分で突っ込みを入れてしまう


伊集院炎山は小さく吹き出すと歩き出した





元いたホテル本館(どうやら私は少し離れたホテルタワーのロビーにいたらしい)の

ロビーにつくと心配そうな顔をした友達が

私のことを探すようにあたりを見回していた

コチラに気づくと隣の炎山に気を使って

私のところへ来ようかどうしようかと迷うように視線を送ってくる


「伊集院君今日は本当に有難う それじゃぁ」


言って歩き出そうとしたら


「あ 」


腕をつかまれた


「                 」


優しく笑うとスタスタと反対方向に歩いていってしまった


「え?」


聞き返した時にはすでにエレベーターのドアの中に消えていくところだった


「大丈夫? 心配したんだから〜」


駆け寄ってきた友達よりも私の瞳はエレベーターを見つめ続ける


「今のIPC社の伊集院炎山よね? 知り合いなの?」


「え あ うん」


曖昧に返事しながら

私の頭は伊集院炎山の一つ一つの言動をリピートしている


一人ぼっちのところを知らない外国人に話しかけられて

困っていた私を助けてくれた炎山

流暢に英語を話す炎山

ニヤリと笑った炎山

慣れないヒールと深い絨毯の床にもたつく私に

歩調を合わせてゆっくり歩いてくれた炎山


「そのドレス 似合ってるよ」




顔どころか体中が火照ってくるような感覚


「どうしたの? ?」


友達の声もどこか遠くに聞こえる


あぁもう

私今日はアイツに振り回されっぱなし
(私が一方的にだけど)


でも そう



今日ここに来て良かった


いつのまにか こんなにも


私は伊集院炎山の事が







* FIN *





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*後書き*

初ドリーム小説!
難しいですね
なかなか感覚がつかめないです
次はもうちょっとちゃんと書きたいなぁ
炎山さんが外人紳士の去った後
お礼を言った?さんの頬を軽くつねったのは
外人紳士がそこにキスをしたからで
炎山さんが嫉妬してるんだよっていうのを
ちょっとあらわして見たかったのです

実はこのネタ愁のみた夢です
アイタタタ
こんな夢見ちゃうほど痛いとこまで来ちゃってるんです
まぁ私は特待生になれるような才女では勿論ありませんが
夢ですから なんでもアリなんです(笑
いや なんつぅか
炎山さんってかっこいいよね・・・