Messenger of heart









「副社長 お手紙が届いています」


秘書の男が脇に抱えた書類の束の中から

1通の封筒を差し出した

拙い文字で宛名が書かれている

子供の字 どこかで見たような・・・

急いで裏返すと『光熱斗』の文字

今までしていた仕事を放り出して俺は慎重に封を開ける

ノリのはがれる乾いた音が部屋に響く



封筒の中にはざらざらしたのいびつな形の紙が1枚入っていた
















 伊集院 炎山サマ



 手紙ってあらためて書こうとすると全然文章うかばないな
 この1行書きだすのにもう20分もなやんだ
 今日は学校のじゅ業で紙を作ったんだ
 これ この紙 オレが作ったの
 炎山の色 赤色 なんかちょっとオレンジっぽいけど
 にんじんで紙ができるって炎山しってた?
 オレ今日はじめてしった すごいよな
 ちょっとぶかっこうだけど
 あつさもちがうしボコボコしてて、じつはすっごい
 字が書きづらいんだけど でも
 オレが作ったんだ
 まりこ先生が
 「せっかく紙を作ったんだから手紙を書いてみなさい」
 っていうからこうして書いてる
 べつにとくに何か伝えたいとかそんなんじゃないけど
 書くことがないから聞くけど
 おまえちゃんと元気でやってんの?
 もうアメロッパにいってから1ヶ月たつよな
 きっといそがしいんだろ?
 だからメール送ってないけど
 べつにわすれてたからメール送ってないんじゃないからな
 言いたかったのそれだけ


                         光 熱斗



  P.s まりこ先生は本当は「1ばんたいせつな人に手紙を書いてみなさい」って言ったんだよ


   
熱斗らしい手紙の内容に思わず顔が緩む 紙のせいなのか所々歪んだ文字 平仮名ばかり まとまってない文章 何度も書き直した後がある 上の文章の半分以下の大きさで書かれている最後のP.s ──― 全てがこの上なく愛しくて 今すぐにでも日本に帰って熱斗を抱きしめたいと思う そしてそれができない事がもどかしい 何か俺も 熱斗に返したい そうだ手紙の返事を書こう どんな手紙を書こうか 今のこの気持ち、紙1枚じゃ収まりそうにない そんなに沢山書いてもきっと熱斗は文章を読むのが苦手だろうから 短くて それでいて今のこの気持ちを熱斗に伝えるには どんな手紙を書けばいいのだろう? ぼんやりと熱斗の手紙を眺めながら頭をフル回転させる どんな会議よりも難しくて 何にも例えられないほど胸が躍るこの難題に ポストから郵便物をとる もしかしたら炎山から返事がきてるかもって思ったけど 郵便物の中にオレの名前はなくて ちょっと・・・ 結構・・・ガッカリした ただいまも言わないでママに手紙の束を渡す 「おかえり 熱斗」 「・・・ただいま」 自分の部屋に戻ってため息をつく きっとかえってこないだろうなとは思ってたけど ちょっと期待しちゃった自分が悔しい 「メールくらいくれたっていーと思わねぇ?」 机の上で微笑む炎山をジト目で睨みながらロックマンにぼやいても まぁまぁと軽く流されてしまう 「熱斗〜?」 ママの呼ぶ声が聞こえる 何〜? 応える前に聞こえてきた言葉に オレはドアを蹴破る勢いでリビングに駆け出していた “炎山君から手紙よ〜” 息を切らすほど急いできたオレに、 ママはニコニコしながら1通の手紙を渡してくれた 受け取った手紙の宛名には ミミズがのたくったような変な図柄?がかかれている 「これ本当にオレへの手紙・・・?」 不安になってママに聞くとコレは“筆記体”という 列記とした文字なんだそうだ ママは「流石炎山君ね〜」なんて褒めてたけど オレには全然わからない さっき手紙をスルーしちゃったのもこの変な字のせいだ 「炎山って・・・ 気が利かないよな〜」 ぼやいたオレにロックマンがちゃちゃをいれる 「にやけちゃって 嬉しいくせに」 反抗しようとしたら「そ・れ・に」という言葉にかき消される 「アメロッパからじゃそういう書き方にしないと手紙は届かないんだよ?」 おもわず黙り込む だってオレは普通に日本語で書いたけど アレ? よく考えたらオレ炎山が今いるところの住所知らないじゃん 宛名なんて書いたんだっけ・・・? 霞みかけた記憶を手探りで手繰り寄せる “IPC社 副社長 伊集院 炎山サマ” そう 確かオレはそう書いてパパに渡したんだっけ・・・? 瞬間顔が熱くなった 赤面しているのが自分でもわかってそれが更に体温を上げる 絶対炎山オレの手紙見て笑った 恥ずかしくてしょうがない もしかしたらこの手紙にはその事が書いてあるだけかもしれない “お前は手紙の書き方も知らないのか” と 一瞬開けるのをためらった 「あーもうっ 笑われてもいいよっ」 勢い良くノリの部分をはがすと青い紙が見えた




 光 熱斗様



 手紙有難う。俺は元気にしているよ。
 まさか熱斗から手紙が来るなんて考えても見なかったから、
 本当に驚いたし嬉しかった。
 熱斗の手作りの紙で書かれた熱斗の想いをもらえるなんて
 勿論この世界で俺だけだよな?
 だからきっと俺はこの世界で一番の幸せ者だと思う。
 熱斗に習って俺も自分で紙を作ってみた。
 結構難しいんだな。お前の色、綺麗な青色を出そうと
 最初はブルーベリーを使ったんだが、固まらなかったうえに
 手が真っ青に染まって次の日の会議で部下に
 物珍しそうにジロジロと見られた。少し恥ずかしかった。
 コレは茄子を使ってみたんだがどうだろう?
 そういえば熱斗知ってたか?
 アメロッパの茄子は日本の2倍以上の大きさなんだ。
 土産に茄子と人参を買っていくから、
 今度は2人で紙を作ろう。
 そうしてまた手紙を書いてくれたら嬉しい。
 それじゃぁ 本当はまだ山程書きたい事があるけど
 お前はきっと文を読むのが苦手だろうから
 次に会う時までとっておく事にするよ。
 今週の日曜日には帰れそうだから、
 日本に着いたらすぐに熱斗のところへ行きます。
 それまで、健康に気をつけて。


                        伊集院 炎山



  P.s 俺の一番大切な人は、勿論この手紙を受け取ってくれる光熱斗です。


   
「本っ当に気のきかない奴!!」 漢字が多すぎてオレには読めなかった だからといってママやロックマンにも聞けないし・・・ オレは漢和辞典と国語辞典を総動員してこの難題に挑む まずは全部の漢字に読み仮名をふった それからあらためて手紙の内容を読む 顔から火が出るかと思った 「恥ずかしい奴・・・」 手紙の中の炎山はいつもの炎山とちょっと違っていて それでもやっぱり炎山は炎山で 嬉しくて 恥ずかしい 日曜日まであと5日 炎山に会ったら忘れずにアメロッパでの住所を聞いておこうと思う 今度はちゃんと手紙が送れるように FIN *後書き* 36666Hit yuri様 リクエスト内容:炎熱絵か炎熱小説 大変遅くなってしまいましたがリクエストの炎熱小説です いつもとは違った書き方での炎熱 いかがだったでしょうか・・・・?;; 書いててちょっと カナリ・・・ 自分で恥ずかしかったです ええぃっ このバカップルめ! みたいな スイマセン・・・orz キリリク有り難う御座いましたvvVV 戻る